Regard

『作兵衛さんと日本を掘る』

宣伝/熊谷博子(くまがい・ひろこ)監督/2018年/111分/日本/オフィス熊谷

2011年5月25日に炭坑画家・山本作兵衛さんが残した記録画と日記が日本初のユネスコ世界記憶遺産となりました。国策として進められた石炭産業の盛衰を炭坑夫(=労働者)の視点から見つめてきた彼が描いたのは、暗く熱い地の底で、命をかけて石炭を掘り出し、この国と私たちの生活を支えた人々の生々しい姿と、「炭鉱」という共同体が育んだ豊かな文化です。

山本作兵衛さん(1892−1984)は福岡県の筑豊炭田で、幼い頃から働いた生粋の炭坑夫でした。自らが体験した労働や生活を子や孫に伝えたいと、60歳も半ばを過ぎてから絵筆を握り、2000枚とも言われる絵を残しました。作兵衛さんが炭鉱の記録画を本格的に描き始めたのは、石炭から石油へというエネルギー革命で、国策により炭鉱が次々と消えていくさなか。その裏では原子力発電への準備が進んでいました。

作兵衛さんは後の自伝で「底の方は少しも変わらなかった」と記しました。その言葉から半世紀。彼が見続けた「底」は今も変わらず、私たちの足元に存るのではないか?そんな思いを胸に『三池 終わらない炭鉱(やま)の物語』(2005)の熊谷博子監督が、作兵衛さんの残した記憶と向き合い、日本の近現代史を描き出す意欲作!

◎2019年5月25日より、ポレポレ東中野ほか全国順次公開

公式サイト→https://www.sakubeisan.com/